多くの学習者が日本語能力試験のN5-N1を自己到達度を確認する目安としてチャレンジしていますが、そもそも何を根拠に五つのレベルになっているのか、今回はそれを紹介したいと思います。
現代における外国語教育の発祥地であるヨーロッパですが、かなりの間で言語使用者を目標言語の母語話者レベルになるまで指導することを最終的な教育目標としていました。しかしそのあと複言語主義が主流になり、CEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠組み)が採択されて以来学習者の生活状況に応じて各言語のレベルに差があってもいいと考えられるようになりました。
CEFRは言語使用者をA1-C2と六段階に分け、A1、A2は初期段階の言語使用者、B1、B2は自立した言語使用者、C1、C2は熟達した言語使用者となっています。
例えば宝くじに当たったフランス人のあなたがイタリアで海向きの別荘を購入したとしましょう。週に2日程度で遊びに行くあなたに本当にC2レベルのイタリア語が必要なのでしょうか?それがCEFRの考えです。
実は日本語能力試験の主催機構であるJF国際教育基金がこのCEFRを参考に設定したJF日本語教育スタンダードに基づいて考案した評価システムがこのN5-N1です。
CEFRにどのように対応しているか公式の発表はありませんが、個人的にはN3→A、N2→B、N1→Cと捉えています。
さて皆さんも宝くじに当たってこれから日本で豪邸を購入するつもりじゃなければ自分に必要な日本語はどのあたりにあるかじっくり考えた上で無理のない目標を設定したらどうでしょうか。
それでは、次回もお楽しみに。